相続に関する基礎知識③~相続開始後のスケジュール感と相続承認・放棄~
相続手続きを知る上で欠かせない知識について、簡単に解説していきたいと思います。
第三回目は、相続開始後のスケジュール感と、相続の証人・放棄についてです。
この記事は杉並区で相続・終活などをサポートする「とちもと行政書士事務所」が解説しています。
遺言書の作成に必要な基礎知識として、遺言書の種類と遺留分については、以下の記事で説明しています。
相続開始後のスケジュール感
財産を遺してご本人(被相続人)が亡くなられた日から、相続が開始となります。
以下のようなスケジュール感です。
時期 | 内容 |
被相続人が亡くなられた | 相続開始 |
亡くなられてから7日以内 | 区市町村役場に死亡届を提出 |
相続が開始したことを知ったときから3ヵ月以内 (通常は、亡くなられてから3ヵ月以内) | ★家庭裁判所に相続の放棄・限定承認を行う期限 |
亡くなられた翌日から4か月以内 | 税務署に所得税の申告・納付 |
亡くなられた翌日から10か月以内 | 税務署に相続税の申告・納付 |
相続税の申告という相続手続きの節目は、ご本人が亡くなられた翌日から10か月を経過するまでです。
相続税の申告を行うということは、このタイミングまでに各相続人に遺産分割される財産はいくらなのかが判明している必要があり、そのためには、遺言書がある場合にはその遺言書のとおり遺言執行がなされている、または遺言書が無い場合には遺産分割協議を経て相続人間で合意がなされていることが必要です。
そう考えると、時間はあるようで無く、案外とタイトなスケジュールです。
なお、税務申告については、被相続人の死亡時点の住所地を管轄する税務署に対して行います。
相続の承認と放棄
上記のスケジュール感の表に★で明記しましたが、推定相続人が相続が開始したことを知ったときから3ヵ月以内(通常は、本人が亡くなったことを亡くなったときとほぼ同時に推定相続人が相続開始を知ることが多いため、亡くなられてから3ヵ月以内を目安に考えれば良い)を目途に、家庭裁判所に相続の放棄・限定承認を行う期限が設けられています。
相続は、特に何もしないと単純に相続を承認したと見なされますが、相続の一部を受け入れる、または全てを拒否することも可能です。
それぞれ、以下のとおりです。
名称 | 内容 |
単純承認 | プラスの財産もマイナスの財産(債務)も全て受け入れることになります。 限定承認か相続放棄をしなかった場合は、単純承認したものと見なされます。 なお、相続財産の一部または全部を処分した場合(例えば相続財産を使ってしまった場合)、単純承認したものと見なされます。 |
限定承認 | プラスの財産の範囲(額)に限定し、マイナスの財産を受け入れることになります。 相続が開始したことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に対して行います。 相続人全員で行わなければなりません。 |
相続放棄 | プラスの財産もマイナスの財産も全て承継しないことになります。 相続が開始したことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に対して行います。 各相続人が単独で行うことができます。 相続開始前にあらかじめ相続放棄を行うことはできません。 なお、相続放棄した人の子は、代襲相続できません。 |
特に家庭裁判所に対してアクションをしない場合、単純承認したものと見なされますので、あとは推定相続人の中で相続財産をどう分割するか、遺産分割協議などで合意形成していくことになります。
まとめ
今回は、相続開始後のスケジュール感について、注意点などを中心に解説しました。
次は、公正証書遺言について、その作成方法を以下の記事で説明します。
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