相続に関する基礎知識⑫~遺言を作り直したい時の方法を解説~
遺言書を作成した後で、遺言書を作り直したい場合、どうすれば良いでしょうか。
そもそも遺言を作成するには様々な要件が定められており、決められたように作成しなければ、作成した遺言そのものが無効となることがあります。
そして、一度作成した遺言を作り直したい場合も要件に沿って直さないと、最悪の場合、無効なものと判断される危険性があります。
今回は、一旦作成した遺言を作り直したい場合の方法について、解説します。
この記事は杉並区で相続・終活などをサポートする「とちもと行政書士事務所」が解説しています。
遺言書の作成に必要な基礎知識として、遺言を作成できる年齢や、作成したい本人の能力に関する制限などについては、以下の記事で説明しています。
遺言は撤回可能
遺言を作成したい人の意思は時点により変化することも考えられますので、民法では、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」としています。
遺言の確定は、遺言を作成した人が亡くなった段階となりますので、遺言者が生きている間はいつでも何度でも遺言を撤回することが可能です。
そうだとしても、「遺言の方式に従って」とある点には十分に気を付けなければなりません。
遺言の方式とは何か
遺言の方式とは、民法に定められている自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの作成の要件を指しています。
単に「前の遺言は撤回する」といったことでも、遺言の形式に則り、しっかり署名押印があるなど、要件を具備していれば、遺言の撤回は可能です。
しかし、例えば手紙で推定相続人にその意思を伝えるだけだったり、口頭で誰かに話しただけでは、撤回したことにはなりません。
撤回したい時の書き方について
撤回の書き方については、前に作成した遺言の内容を塗り替えるような書き方(これを民法では「抵触する」と呼びます)をした場合に効力が発生します。
例えば、前の遺言が「Aに●不動産を相続させる」となっており、新しい遺言で「Bに●不動産を相続させる」というように、同じ対象のものを別の人に相続させたい意思が確認できれば、前の遺言は撤回されたと見なされます。
どの範囲まで撤回されているか判別がつかない場合、最終的には家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。
まとめ
今回は、一旦作成した遺言を作り直したい場合の方法について、解説しました。
遺言は間違った内容や形式で作成すると、無効となる危険性があり、十分に気を付けて作成しなければなりません。
特に、前の遺言を撤回したい場合、その書き方が曖昧で矛盾した箇所があったり、そもそも遺言の形式に則っていなかったりすると、最悪の場合、遺言が無効となる恐れもあります。
今回ご紹介した撤回方法は初歩的な知識です。
本当に前の遺言の内容を撤回したいのであれば、やはり専門家に確認した方が安全です。
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