【一般社団法人・定款①】定款に必ず定めなければならないこと(必要的記載事項について)

一般社団法人を設立するにあたり、最初に検討すべきは定款案の作成です。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「一般法人法」とします)の第11条1項には、定款に必ず記載しなければならない事項=必要的記載事項を列挙しており、それらを記載しない定款は無効となってしまいます。

第十一条 一般社団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 名称
三 主たる事務所の所在地
四 設立時社員の氏名又は名称及び住所
五 社員の資格の得喪に関する規定
六 公告方法
七 事業年度

これらについて解説します。

①目的

目的は、一般社団法人の事業を明確にするものです。
目的に範囲内で権利を有し、義務を負うことになりますので、事業内容を具体的に記載します。
例えば、具体的な事業を行う一般社団法人を設立するのであれば、目的と併せて事業を列挙する方が良いかと思います。

法人設立後、特定の事業を行うために国や自治体に許認可申請する場合、目的に事業の記載が必要な場合があります。
あらかじめ許認可申請先が目的を指定していないか十分に確認した方が良いでしょう。

なお、一般社団法人を設立後、公益社団法人の認定を取得することを想定している場合、認定基準に「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」とありますので、特定の人だけの利益になるような目的としてしまうと、定款を変更しなければならなくなりますので、気を付けてください。

②名称

法人の名前です。必ず「一般社団法人」を付けなければなりません。

また、例えば、「一般社団法人●●財団」一般財団法人と間違われるような名称とすることも不可です。

名称には、ローマ字、アラビア数字のほか、一部の記号(ピリオドやハイフンなど。先頭や末尾には不可)も使用可能です。

③主たる事務所の所在地

定款には主たる事務所(いわゆる本店)を記載する必要がありますが、区市町村単位まで記載すれば良い、とされています。

もちろん、番地まで正確に記載しても構いませんが、その場合、同じ区市町村内で住所を変更したら定款変更しなければならなくなります。

なお、主たる事務所の所在地は必要的記載事項ですが、従たる事務所(いわゆる支店)を設置する場合でも、定款に記載しなくても問題はありません。

④設立時社員の氏名又は名称及び住所

設立時の社員の氏名又は名称、住所は、必ず定款に記載しておく必要があります。

氏名のほかに名称とあるのは、法人を想定しているためで、設立時社員には法人もなることができます。

定款への記載方法ですが、通常は「附則」などの、定款の最後の部分に氏名(名称)と住所を列挙して記載することが多いです。

➄社員の資格の得喪に関する規定

社員は一般社団法人の基礎となる構成員であり、社員の身分を保護する必要があることから、その資格の得喪は定款に記載しておかなければなりません。

(1)社員資格の取得

まず、社員とは誰を指すのかについて規定するとともに、入会資格を定めます。

例えば、社員については、「社員は、この法人の事業に賛同して入会した個人または法人」とし、その上で、「社員は、理事会の定めに従い入会の申込みをし、その承認を得なければならない」などとします。

(2)社員資格の喪失

また、社員の資格の喪失については、①任意の退会、②除名、③その他資格の喪失、があり、それらも定款で定めなければなりません。

任意の退会として、「正社員は、理事会において別に定める退会届を提出して、任意に当法人を退会することができる。」などが一般的です。

除名については、例えば、
・当法人の定款、規則または社員総会の決議に違反したとき
・当法人の名誉を傷つけ、または目的に反する行為をしたとき
・その他除名すべき正当な理由があるとき
などといった記載が一般的です。

なお、一般法人法上にも除名に関する規定があり、社員総会の専決事項とされているため、定款で「社員総会の決議により除名することができる」などと記載することになります。

その他資格の喪失については、例えば、
・支払いの義務を履行しなかったとき
・総正社員が同意したとき
・正社員が死亡したとき(or正社員が組織の場合は、「正社員が解散したとき」)
などが一般的です。

⑥公告方法

公告とは、ある事項を広く一般に伝えることを言い、一般社団法人の設立においては、あらかじめ公告の方法を定款に記載しておかなければなりません。

公告の方法は一般法人法と施行規則で、
・官報に掲載する方法
・時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
・電子公告
・主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
が定められており、このどれか(または複数)を選択して定款に定めます。

なお、電子公告とはインターネット上のウェブサイトに掲載して誰でも閲覧できるようにしておく方法で、一般法人法には以下1~3が規定されています。

1 電子公告できない場合の代替措置
事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、官報に掲載する方法と日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めることができる。

2 広告期間の定め
電子公告により公告をする場合には、公告の区分に応じ一定の期間、継続して電子公告による公告をしなければならない

3 電子公告調査機関への調査依頼
公告(貸借対照表等の公告を除く)を電子公告により行う法人は、公告期間中、一定の調査機関に対し、調査を行うことを求めなければならない。

電子公告調査機関は法務省で登録されており、現在、以下の調査機関となっています。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji81-05.html

⑦事業年度

適正な会計処理等の必要性から、法人の事業年度もあらかじめ定めておかなければなりません。

通常、「毎年●月1日に始まり翌年●月31日に終わる」といった記載となります。

なお、事業年度を変更する場合の変更後の最初の事業年度は、1年を超え、1年6か月までの期間とできることになっています。

⑧その他

・監事について

一般法人法第11条では上記のとおりですが、このほか、理事会設置の一般社団法人の場合、監事を置く旨を定款で定めなければなりません。
これは必要的記載事項に当たります。

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