【旅館業】豊島区の旅館業許可申請で注意することについて

旅館業の許可の基準については、許可する各自治体でかなりの違いがあります。

それぞれの自治体では独自の条例で細かく定めを作っており、その自治体の条例などに合った客室要件などを満たす必要があります。

特に東京の23区では、本来は都道府県業務である旅館業の許可業務を23区の区役所が担っており、それぞれの区独自の基準をしっかり把握して申請しないと、思わぬ壁にぶつかって許可を得られない危険性があります。

今回は、豊島区の条例等の基準から、申請時に注意した方が良いことを解説します。

豊島区の特徴的な要件について

フロントを置かない場合の代替措置が特殊

旅館業を営む場合でハードルとなるのが、フロントを置かない場合の代替措置です。

豊島区の場合、フロントを置かない場合はおおむね10分以内に施設に駆け付けられる体制が求められます。

さらに、駆けつけの場所(営業者の事務所は豊島区内にあることが必須とされています。

旅館を営みたい方自身の家が近いなどであれば問題ありませんが、なかなかそのような条件を満たせる物件を探すのは難しいかもしれません。

駆け付け体制を民泊専門の事業者などに委託することもできます。その場合は、旅館を営みたい施設からかなり近い場所に事務所を有し、その事務所が豊島区内にある事業者を探す必要があります。

フロントを置かない場合、ビデオカメラ等を設置して本人確認、受付、宿泊者の出入り状況の確認を常時鮮明な画像により確認することも必要です。

加えて、緊急時に宿泊者が宿泊施設内からフロント代替場所に通話できる機器を設置しなければなりません。

・申請書類が若干特殊

旅館業法では、旅館業を営業する人の欠格事由(その事由に該当すると許可を取得できない)を定めています。
豊島区では、この申告書の様式を定めていますが、HPなどでは掲示されておらず、事前相談に保健所を訪れた際に保健所から提供されます。

このほか、設備の概要を明記する様式もHPなどには見当たらず、事前相談後に保健所からもらう形です。

通常の区ではHPに提出書類のひな形が公開されていますので、豊島区は特殊な運用であるといえます。

なお、許可申請時に、ベッドの位置を書き込んだ図面の提出も必要ですが、これも他の区では宿泊室を示すだけで足りますので、特殊であるといえます。

豊島区の社会教育施設等に関する基準について

旅館業を営む場合、その施設の周辺に学校や図書館、区で指定する児童遊園、豊島区立公園、豊島区立地域区民ひろば、豊島区立子ども家庭支援センター、規則で指定する児童館などの社会教育施設などがあると、その施設の管理者に対し、旅館業を開業させて良いか確認することになっています。
条例や規則で照会先が明記されているため、申請前に予め確認しやすいと思います。
また、他の区では幼稚園や保育園も照会先に指定されている場合が多いですが、豊島区は対象外です。

この意見照会は、自治体(保健所)が自ら施設を所管する役所に対して行います。

その場合、旅館を営みたい施設からどれくらい離れていると確認の対象になるのかは、それぞれの自治体で独自に基準を定めています。
豊島区の場合、敷地からおおむね110mとされています。

豊島区の客室の基準について

豊島区の旅館業に関する条例では、他の区に比べ客室の基準に難しいハードルはありません。

自治体によっては条例で部屋の照明のルクス(明るさ)を指定したり、室内の二酸化炭素濃度の基準を設けたりしていますが、豊島区の場合は特別な数値基準はありません。
(ただ、勿論、豊島区内部では基準を設けています)
なお、保健所への許可申請時に、照明設備の一覧を提出する必要があります。

客室には窓が必須ですが、窓の面積について、特に明確な基準は設けられていません(ただし通常、おおむね床面積の10分の1以上であることが望ましいです)

客室の最低限の床面積は一般的に、7㎡(寝台を置く客室の場合、9㎡)以上とされており、豊島区の条例や規則では明記されていませんが、同様の基準です。

トイレには手洗いの設備が必要です。
これは、いわゆるロータンク式便器の上部に設置されている給水口で構いません。

洗面設備、トイレの数について

通常、洗面設備やトイレを敷設していない客室の場合、宿泊者の人数に応じた数を用意しておく必要があります。
ただし、豊島区では、洗面設備やトイレの数について明確化していません。

宿泊する人の衛生環境を考え、適切な数を用意すれば良い、ということになります。

まとめ(豊島区の特徴的な点)

豊島区で旅館業の許可を申請する場合に気を付ける点について解説しました。

豊島区の場合で特徴的なのは、フロントを置かない場合の代替措置として、駆けつけ場所が豊島区内になければならない、という点です。

委託する場合にもハードルとなりますので、もし豊島区で民泊の営業を行う物件を探している場合、早めに豊島区内に事業所を設けている

とちもと行政書士事務所では、旅館業許可・民泊届出の許可取得の実績が豊富にあります。

お困りごとがありましたら、何なりと気軽にお問い合わせください。

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