【民泊業】を始める④ ~消防法上の注意点~

住宅を活用して民泊を営む場合、消防法上で定められた要件が複数あります。

また、管轄の消防署に民泊で使用する住宅のチェックを受けた上で、「消防法令適合通知書」を入手し、届出に添付する必要があります。

今回は、民泊を開始する際に気を付けるべき消防法上の注意点について解説します。

一戸建て住宅で民泊を行う場合

宿泊者が就寝するために使用する室(宿泊室)の床面積や家主の居住の有無等の火災危険性に応じて消防法令上の用途が判定されます。

人を宿泊させる間、住宅に家主が不在となるかで、判定基準が分かれています。

不在とならないのであれば、宿泊者が就寝するために使用する室(宿泊室)の床面積の合計が50㎡以下となっていれば、一般住宅と同じ扱いとあり、新たに消防用設備等を設置する必要はありません。

その場合でも、住宅用火災警報器が適切に設置されているかを確認してください。

住宅に家主が不在となるか、宿泊者が就寝するために使用する室の床面積の合計が50㎡超である場合、「旅館、ホテルなどの宿泊施設と同じ扱い」となり、消防法令上求められる主な対応を行う必要があります。

以上をまとめると、民泊業を行う場合、お客様を宿泊させている最中は事業者がおり、お客様の宿泊する部屋が50㎡以下であれば、特に消防にかかる工事は不要ということです。

「旅館、ホテルなどの宿泊施設と同じ扱い」とは

「旅館、ホテルなどの宿泊施設と同じ扱い」として、消防法令上求められる主な対応は以下のとおりです。

求められる対応具体的な内容
自動火災報知設備の設置一般的な大きさ(建物の延べ面積300m²未満)の一戸建て住宅では、簡易な自動火災報知設備(特定小規模施設用自動火災報知設備)の設置が可能です。
原則として、2階建て以下のものに限ります。
誘導灯の設置全てのもの
★建物に不案内な(避難経路がわからない)方でも、避難口までの避難経路が明確にわかるなど避難に支障が生じない場合は、誘導灯の設置を免除することが可能です。
防炎物品の使用(カーテン、じゅうたん等)カーテン、じゅうたんなどを用いる場合は、防炎性能(火災の発生防止、延焼拡大の抑制など)を有する防炎物品
消防用設備等の点検報告点検が年2回報告が年1回

これに加え、

1.建物の延べ面積が150m²以上のもの
2.地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50m²以上のもの

については、消火器の設置も求められます。

一般住宅として求められる要件

上記のような「旅館、ホテルなどの宿泊施設と同じ扱い」に加え、一般住宅としても、基本的に、住宅用火災警報器(住警器)を寝室に設置することが必要です。

また、2階建てや3階建ての場合には、寝室の位置によって、階段部分にも設置が必要になる場合があります。

住宅用火災警報器そのものは、ホームセンターや電気店などで購入できます。

なお、市町村等の火災予防条例により、台所やその他の居室にも設置が必要な地域があります。

アパートやマンションなどの共同住宅で民泊を行う場合

住戸を活用して民泊を営む場合、一戸建て住宅で民泊を行う場合の要件に加え、建物全体の何割が民泊の用途に利用されるかによって建物の消防法令上の対応が異なります。

全ての住戸が一般住宅と同じ扱いである場合、新たに消防用設備等を設置する必要はありません。

他方、建物の住戸が1戸でも「旅館、ホテルなどと同じ扱い」である場合、建物全体の消防法令上の用途が変わるため、消防用設備等の設置が必要となる可能性があります。
その場合は、消防署とよく打ち合わせを行い、必要の判断を仰ぐことになります。

アパートやマンションなどの「旅館、ホテルなどと同じ扱い」についても、一戸建て住宅で民泊を行う場合と同様に、細かな要件が定められています。

消防法令適合通知書について

住宅宿泊事業の届出時に、消防法令適合通知書をあわせて提出することとされています。

参照:総務省消防庁・住宅宿泊協会(JAVR)作成【民泊を始めるにあたって】より抜粋

この他の留意点

民泊サービスを提供する場合、出火防止対策、避難経路図の掲示、緊急時の119番通報の用意など、お客様の安全のための対策を採ることが求められています。

所管の消防署によく確認し、安心安全な施設として近隣住民に信頼される運営を目指してください。

とちもと行政書士事務所では、お客様のご要望を受け、速やかに申請手続きを行います。ぜひご相談ください。

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