【旅館業】を営む際の物件に対する制限について④ ~敷地内通路~

旅館業を営む場合、どのような物件で開業するかが非常に大きな課題となります。

別の記事では、敷地が建築基準法上の「道路」に2m以上(都内の場合は4m以上)接していなければならない「接道義務」について解説しましたが、このほかにも、建物の出入口と道路までを一定距離に保たなければならない義務もあります。

接道義務については以下を参照してください。

今回は、旅館業を営むに際し課題となる道路に関する制限について解説します。

なお、旅館業の許認可申請手続きについては、以下の記事で解説しています。

敷地内通路とは

建物を造るときの基準を定めた建築基準法の施行令において、以下のとおり定めがあります。

(敷地内の通路)
第128条
敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5メートル(階数が3以下で延べ面積が200平方メートル未満の建築物の敷地内にあつては、90センチメートル)以上の通路を設けなければならない。

敷地内通路とは、火災などが発生した際に安全に避難等ができるよう定められたもので、簡単に言えば、建物の出口などから敷地外までの通路となる空間のことです。

なお、この規定にある「第125条」とは「屋外への出口」に関する条文です。

128条をまとめると、通常の建物は出口から敷地外まで1.5m以上の空間を開けなければならないということを規定しており、ただし、階数が3以下で、延べ面積が200㎡未満の建物については、その空間距離は90㎝で良いともされています。

旅館業や、住宅宿泊事業法に基づく民泊との関係

旅館業等との関係はどうでしょうか。

建築基準法上、旅館業や住宅宿泊事業法に基づく民泊を開業する場合も当然、敷地内通路の規定は適用されます。

このため、出口から敷地外までの距離を1.5m(小規模の建物と言える「階数3以下」かつ「延べ面積200㎡未満」の建物は90㎝)確保しなければなりません。

ここで問題となるのが、これまで住宅として利用されてきた物件で旅館業等を行う場合です。

既存の住宅の場合、建築基準法128条が適用されないため、その敷地内通路がほぼない物件も多数存在します。
特に、築年数が古い物件や、住宅が密集しているような地域では、敷地ギリギリに住宅を建てていることが多く、敷地内通路を確保できていないケースも多く見受けられます。

旅館業等を始めるために建物を建築し直すのも現実的ではありませんので、その物件での開業はできないと判断せざるを得ないことになるかもしれません。

まとめ

旅館業や住宅宿泊事業法に基づく民泊と敷地内通路の関係について、解説しました。

一軒家などを活用して旅館業や住宅宿泊事業法に基づく民泊を開業したい場合、敷地内通路の基準を満たす物件であるかどうかを最初に確認した方が良いでしょう。

とちもと行政書士事務所では、お客様のご要望を受け、速やかに許認可手続きを行います。ぜひご相談ください。

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