【NPO法人】認証の流れについて実務ベースで解説!

無事に定款を作成しましたら、いよいよ都道府県の窓口に書類を提出します。

今回は、提出後の流れについて、具体的な実務ベースで解説します。

なお、NPO設立の全体的な流れについては、以下で解説していますので、ご参照ください。

NPOの骨格を考える

NPO法人を設立する前提として、そのNPO法人で何を実現したいのか、誰が最初の発足メンバーでどのような組織体制とするのか、今後の収支や事業の計画をどうするのかを検討します。

これらは骨子となる重要な部分ですので、できれば発足メンバーで集まり、十分な議論を重ねた方が良いでしょう。

そして、その骨子を、NPO法人の指針となる「定款」に落とし込んでいきます。

定款の作成は、書店で売られている本などにも詳しいですが、できれば経験のある専門家に相談し、アドバイスをもらいながら作った方が安全です。

都道府県への事前相談

NPO法人の骨子が決まったら、所管する都道府県に事前相談を行います。
(複数の都道府県にまたがっている場合、内閣府が所管となりますが、単一の県であれば、都道府県が担当です。)

事前相談を必須としていない都道府県もありますが、多くの都道府県では、NPO法人の正式な認証申請の前に、事前相談に来るよう周知している場合が多いです。

それぞれの都道府県にはNPO法人の所管部署がありますので、そこに相談に行きます。
その際は、事前に作成してある骨子を紙に印刷などして、都道府県の担当に見せましょう。

書類作成の際、細かなアドバイス(指摘)があるかと思いますが、丁寧に対応しましょう。
特に、定款についてはその修正に多くの手間がかかりますので、都道府県の担当からアドバイスがあれば、できる限りそれに従って修正等を行った方が無難です。

設立総会の開催

都道府県への事前相談後、正式な申請書類を確定させるため、発足メンバーを集め、設立総会を開催します。

これは、都道府県への正式な申請時に「議事録」として議事内容を提出しなければならないため、予め議論する内容をしっかり決めて置き、疎漏の無いようにしましょう。

議事録も都道府県による事後的な審査対象となりますので、可能であれば予め都道府県の担当者に内容を相談しておいた方が良いと思います。

正式な書類提出

諸々の書類を整えたら、都道府県に対し、設立認証の申請書と、必要書類一式を提出します。

この提出は、原則として「閣府NPOホームページ」の中に設けられた「NPO法人ポータルサイト」にアクセスして行います。

参照:内閣府NPOホームページ

基本的には全ての提出書類を電子データ化し、ポータルサイトにアップロードすることで申請作業は完了します。

都道府県とのやり取り

「NPO法人ポータルサイト」で提出した電子データは、所管の都道府県で確認されます。

この際、定款の作成に問題ないかなど、細かなチェックを受けますが、事前相談でチェックを受けている場合、多くの指摘はなく、スムーズな確認を受けることができます。

なお、この段階で定款に修正が必要なことが発覚した場合、定款の修正には設立総会を再び開いて承認を経る必要があり、非常に面倒です。
この点でも、事前相談で定款のチェックを受けた方が良いです。

都道府県のチェックが終わると、「受理」されます。

定款等の縦覧

受理された書類のうち、定款や設立趣旨書、事業計画や予算書などは、広く一般の方も確認できるよう2週間にかけ「縦覧」されます。

縦覧期間の1週間以内であれば、軽微な修正については「補正書」により直すことができます。
ただ、都道府県の所管部署の扱いによっては軽微な修正と認められず、一旦の取り下げを要求される可能性もあります。

このあたりでも、事前相談による所管部署とのやり取りが重要なことが分かります。

都道府県からの通知

このような過程を経て、問題が無ければ、都道府県から認証の通知が送付されていきます。

万が一、認証されなかった場合は、その理由を都道府県の担当部署に十分確認し、対策を検討します。
(認証されないケースはレアですが、事後的に何か問題が発覚するなどもあり得ます)

都道府県の指摘を踏まえ、書類等を整え直して再度、NPO法人の認証申請を行っても良いですが、どうしてもNPOとしての活動が難しければ、「一般社団法人」「一般財団法人」など、公益性を一定程度有する別の法人形態の設立に方向を切り替えても良いかもしれません。

参考:一般社団法人を作るには

法務局に登記

認証の通知を都道府県から受け取ったら、速やかに法務局に行き、設立登記を行いましょう。

NPO法人の設立には、認証の通知を添付することが必要で、さらに、その認証を受けた日から6か月以内に登記の手続きを行わないと認証を取り消される可能性もありますので、十分に注意します。

設立の登記申請の際は、法人の代表者印も届け出る必要があります。
あらかじめ印鑑を作成しておくと、手続きが遅延なく進みます。

通常、登記申請から1~2週間すると登記完了となります。
なお、法人の設立日は、登記申請書を提出した日となります。

その後の事務対応

登記が完了した旨を都道府県に書類で報告します。
できるだけ早く行いましょう。

また、税務関係で提出すべき書類を準備します。
税務署には法人設立届出書の提出が必要です。
都道府県や市町村の税務所管部署にも同様の書類を提出します。

なお、NPOはその事業の性質から、非課税となる可能性が高く、都道府県や市町村では独自にNPO非課税の扱いを定めていますので、必ずそれぞれの税務担当に非課税扱いとなるか確認しましょう。
非課税扱いとなる場合、書類提出が必須です。

加えて、従業員を雇用するのであれば、社会保険関係の手続きも行いましょう。

まとめ

NPO法人の認証の流れについて解説しました。

NPO法人の設立については、行政に対する手続きが非常に多く、また煩雑な手順を踏みますが、行政書士などの専門家に相談するとスムーズに手続きを完了することができます。

とちもと行政書士事務所では、NPO法人や社団・財団法人などの非営利法人の設立サポートに力を入れています。

お困りごとがありましたら、気軽にお問い合わせください。

関連記事

  1. 【法人設立】会社を作る方法について(総論)
  2. 【NPO法人・定款】定款に必ず定めなければならないこと(必要的記…
  3. 【一般社団法人・定款②】定款で定めなければ効力が発生しないこと(…
  4. 【公益法人】公益認定の基準①公益目的事業に該当するか否か
  5. 【一般社団法人Q&A】社員総会
  6. 【非営利法人設立】営利活動を目的としない法人を作る方法について(…
  7. 【一般社団法人Q&A】基金とは何か
  8. 【一般社団法人・定款①】定款に必ず定めなければならないこと(必要…
PAGE TOP