【民泊業】を始める⑤ ~対象となる物件の要件~
新たに建物を利用して民泊を営む場合、その物件が民泊を営むことができるかの要件が定められています。
意外とこの要件の確認が漏れていることがありますので、解説していきます。
住宅宿泊事業法に記載された要件
住宅宿泊事業法では、第2条で、以下のとおり、住宅について正確に定義付けを行っています。
第2条
この法律において「住宅」とは、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいう。
一 当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める設備が設けられていること。
二 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当すること。
上記のうち、第一項を「設備要件」、第二項を「住居要件」といいます。
設備要件とは
住宅宿泊事業法を根拠に届出で民泊を営むことができる住宅には、以下のとおり、4つの設備が設けられている必要があります。
「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」
これらの設備は、必ずしも独立しているものである必要はなく、一つの設備に複数の機能があるユニットバス等も認められます。
また、これらの設備は、一般的に求められる機能を有していれば足ります。例えば、浴室については、浴槽が無くてもシャワーがあれば足り、便所については和式・洋式は問いません。
なお、これらの設備は、届出住宅に設けられている必要があり、届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等を浴室等として代替することはできません。
これらについては、必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はなく、同じ敷地内の建物について一体的に使用する権限(民泊を営む者が使用させることのできる権限)があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、それらを一体のものとし、「住宅」として届け出ることが可能です。
居住要件とは
住宅宿泊事業法を根拠に届出で民泊を営むことができる住宅は、次のいずれかに該当する家屋である必要があります。
(1)「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
(2)「入居者の募集が行われている家屋」
(3)「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」
(1)「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」とは
現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋です。短期的に当該家屋を使用する場合は該当しません。
(2)「入居者の募集が行われている家屋」とは
住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、居住用住宅として入居者の募集が行われている家屋です。
(3)「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」とは
生活の本拠としては使用されていないものの、その所有者等により随時居住利用されている家屋です。
この家屋は、既存の家屋において、その所有者等が使用の権限を有しており、少なくとも年1回以上は使用している家屋でなければなりません。
まとめ
民泊業のうち、住宅宿泊事業法に基づく届出を行って開業する場合の、住居に関する制限を開設しました。
居住といえる使用履歴が一切ない新築投資用マンションをすぐに民泊用として扱うことはできません。
ただし、そのような物件も、旅館業で定義されている「簡易宿所」の形態であれば民泊を営むことができる可能性があります。
とちもと行政書士事務所では、お客様のご要望を受け、速やかに申請手続きを行います。ぜひご相談ください。