【運送業】を起業する~運送業を営む方法について~
今回は、運送業を始める方法について、解説していきます。
運送業とは
運送業とは、手数料などを受け取り、特定の場所まで人や物を運ぶ仕事のことをいいます。
詳しくは、「他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものを「一般貨物自動車運送事業」のこと」を指し、この事業を営むには、行政の許認可が必要です。
運送業を始めるには
国土交通大臣または地方運輸局長の許可を受けることが必要です。このため、事業を始めるに先立ち、許可申請書を提出しなければなりません。
おおまかには以下の流れとなります。
1.運輸支局へ申請書を提出
2.国土交通省または地方運輸局で審査
3.国土交通省または地方運輸局で許可
4.準備が整い次第、事業開始
出典:関東運輸局 https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_koutu/kamotu/kamotu_jigyoukaisi/index.html
運送業の許可を受けるにあたり、人員要件・設備要件・資金要件等、いわゆる「ヒト」「モノ」「カネ」が一定の水準を満たす必要があります。以下で詳しく説明します。
ヒトについて
まず、人員要件についてです。運送業を営むには、車両1台に対して1名のドライバーが必要です。
また、以下でも説明しますが、「運行管理者」という事業の責任者を置くことも求められています。車両数に応じ、一定の割合で配置する必要があります(詳しくは以下のとおりです)
必ず常勤である必要があります。
運行管理者 = (車両数 ÷ 30) + 1
加えて、整備の担当者として「整備管理者」も1名以上置く必要があります。なお、整備管理者は派遣社員でも可とされています。
- 申請者の欠格事由について
運送業を営むために申請する人の欠格事由も定められています。主に以下のとおりです(ほかにも欠格事由はありますが、複雑なため割愛します)
- 許可を受けようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
- 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者
モノについて
次に、設備要件です。
- 車両の要件
運送業のための車両を揃える必要があります。具体的には、車検証の「用途」の欄に「貨物」とされている車両が最低でも5台必要です。
この5台の要件ですが、自己所有ではなく、リースでも可能とされています(リース期間は1年以上という要件があります)。
車検証の要件が「貨物」であれば、車種を問いません。ワゴン車やトラックなど、様々な車種で大丈夫です。
- 営業所の要件
営業所は、1年以上使用できる建物であることが必要です。面積としては、10㎡以上で、机、椅子、電話機などを備えることのできる広さが求められます。
なお、当然ですが、都市計画法や建築基準法などの所定の法令に適合する建物でなければなりません。
- 車庫の要件
車庫についても要件があり、原則として、営業所に併設しなければなりません。駐車場と接している道路に対して、交通安全上の支障がないようは配慮も必要です。この配慮については、道路の幅員により異なっており、適合していることについて、役所(市町村)から「車両制限令の証明願」を取得し、許認可申請の際に添付しなければなりません。
また、複数の車両を置く場合、車両同士の間を50cm以上開ける(車と車の間隔を50cm以上とる)ことも必要です。
それだけの広さのある駐車場を設けておかなければなりません。
運行管理者について
自動車を用いて運送業を営む場合、運行管理者の資格者証を有している人のうちから、運行管理者を決めなければなりません。
また、運行管理者の選任には試験制度があり、試験に合格しないと運行管理者として配置することができません。試験を受験するにも要件があり、1年以上の実務経験または基礎講習の受講が必要です。
加えて、一定の車両台数に応じて複数の運行管理者を置くことが必要です。具体的には、車両台数29台までは1名を置くことが必要で、それ以降、30台ごとに1名を追加で配置しなければなりません。
カネについて
しっかりと運送業を継続していくために、一定の自己資金があることを証明する必要もあります。
具体的には、例えば人件費、車両費、保険料、水道光熱費等の営業所にかかる経費などについて必要となるだろう金額を算定し、その額に見合った自己資金があるかを「残高証明書」で証明し、許認可の申請時に提出します。
申請後について
申請した後、改めて残高証明を提出したり、法令で定められた試験を受けるなども必要です。それらを経て許可証が交付されたら、営業所の開始とし必要な社会保険の手続き、税務の手続きなどを行い、ようやく事業開始できます。
まとめ
運送業を始めるための手続きについて、説明しました。
運送業については、働き手の減少が問題視されており、労働人口の減少に悩む地方にとってはより深刻な問題でもあります。
ぜひ経験を活かし、または新たな取組として、運送業を起業しては如何でしょうか。