【旅行業】を起業する③ ~旅行サービス手配業を営む方法について~

旅行業を営む方法について、以下の記事で解説しました。

ご紹介した旅行業以外にも、旅行業者のため旅行者のために運送等を手配する「旅行サービス手配業」というものもあり、この業態で事業を行う場合も、申請して登録されなければなりません。

今回は、旅行サービス手配業について解説します。申請先は都道府県です。なお、旅行業を営むための登録が済んでいる場合、新たに旅行サービス手配業の登録を受ける必要はありません。

旅行サービス手配業の定義

旅行サービス手配業とは、報酬を得て、旅行業を営む者のため、旅行者に対する運送等サービス又は運送等関連サービスの提供について、これらのサービスを提供する者との間で、代理して契約を締結し、媒介し、又は取次ぎをする行為を行う事業をいいます。

難しく記載しましたが、簡単に言えば、旅行業者から委託を受け、運送手段や宿泊施設、ガイド等を手配する事業のことを指しています。

例えば、
①運送又は宿泊のサービスを手配する =運送等サービス
②全国・地域通訳案内士以外の者が報酬を得て行う通訳案内の手配など =運送等関連サービス
③免税店における物品の上との手配など =運送等関連サービス
のことです。

なお、単発・独立的に、レストランや劇場のチケットなどを手配するサービスは登録制度の対象外とされています。

旅行サービス手配業 登録要件

登録に必要な要件は以下のとおりです。

  • 登録拒否事由に該当しないこと

旅行業法第26条(登録の拒否)の規定により、登録拒否条項に該当する場合、登録は拒否されます。
具体的には、以下のとおりです(要約しています)

登録拒否事由の内容
旅行業法の規定により旅行業・旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過していない者
禁錮以上の刑に処せられ、又は旅行業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過していない者
暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者)
申請前五年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が①~④、⑦のいずれかに該当するもの
心身の故障により旅行サービス手配業を適正に遂行することができない者、又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
法人であって、その役員のうちに➀~④、⑥のいずれかに該当するもの
暴力団員等がその事業活動を支配する者
営業所ごとに旅行業サービス手配業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
  • (法人の場合)事業の目的に旅行サービス手配業である旨が記載されていること

法人で申請する場合は、定款と履歴事項全部証明書(謄本)に必ず「旅行サービス手配業」又は「旅行業法に基づく旅行サービス手配業」と記載しなければなりません。

  • 旅行業務取扱管理者試験に合格した者、若しくは旅行サービス手配業務取扱管理者研修を申請日前5年以内に修了した者を選任すること

旅行サービス手配業は、
① 1営業所につき1人以上の旅行サービス手配業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと。)を選任すること。
③ 従業員数10人以上の営業所においては、複数の旅行サービス手配業務取扱管理者を選任すること。
とされています。

旅行サービス手配業務取扱管理者研修については、複数の団体で実施しています。

参考リンク:一般社団法人日本旅行協会

申請に必要な書類など

都道府県に登録を申請するに際しては、旅行業と同じく、以下のとおり、様々な書類を提出する必要があります。△は、必要に応じて提出します。

番号必要書類等法人個人備考
新規登録申請書(1)・申請者の住所は、法人の場合は履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の「本店所在地」、個人の場合は、住民票に記載の「住所地」とする。
新規登録申請書(2)・その他の営業所(支店)がある場合に提出
定款(写)又は寄附行為(写)・最新の定款又は寄附行為の写しを提出
・「目的」は、「旅行サービス手配業」又は「旅行業法に基づく旅行サービス手配業」とする。
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)・申請日を含めて3か月以内に発行され、変更事項について新旧の関係が記載されているもの
※管轄登記所を異動した場合は、異動前の登記所の「閉鎖事項全部証明書」が必要となる場合もある。
役員の宣誓書・監査役を含む全役員の宣誓書(自署したもの)
事業者の宣誓書・自署したもの
事業者の住民票・3か月以内に発行されたもの(マイナンバーが記載されたものは不可)
旅行サービス手配業務に係る事業の計画
旅行サービス手配業務に係る組織の概要・旅行サービス手配業務を取扱う部局及び関連部局の組織図に選任した管理者を明記したもの
旅行サービス手配業務取扱管理者選任一覧表・管理者が出向の場合は、出向契約書(写し)及び本人の同意書(写し)が必要
旅行業務取扱管理者の合格証又は認定証若しくは旅行サービス手配業務取扱管理者研修の終了証の写し
定期研修修了証の写し・直近5年以内に旅行業務取扱管理者試験に合格した者は、提出不要
履歴書・自署したもの
宣誓書・自署したもの
・個人事業者又は役員が管理者の場合は、重複提出不要
営業所(その他の営業所も含む)の使用権を証する書類・営業所毎に建物の登記簿謄本、賃貸借契約書の写し等
10事故処理体制の説明書
11旅行サービス手配業登録手数料・定められた金額(例えば東京都の場合、15,000円)
※登録通知書受領時に納付する。

旅行業と同じく、かなり提出書類が多く、役所とのやり取りにも時間がかかります。行政書士等の専門家に書類作成や提出を委任しても良いかと思います。

登録にかかる期間

申請から登録まで、以下のような流れとなります。

1 申請書の提出 → 官庁で審査を実施 → 登録決定

2 登録手数料の納付

3 営業開始

申請先の官庁にもよりますが、申請してから営業を始められるまでに概ね2か月以上かかるようです。それぞれの役所では標準的に業務を処理する目安とする期間(標準処理期間)を設けていますので、申請時に官庁に確認しても良いかと思います。

まとめ

旅行サービス手配業を始めるに際して必要な登録制度についてご説明しました。
なお、登録した内容に変更があったときは、その日から30日以内に届け出なければならない、ともされています。官庁への手続きについて、決して忘れないよう注意してください。

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