相続に関する基礎知識⑭~相続人である子が既に亡くなっている場合、どうなるのか。代襲相続とは~
財産を遺して亡くなった方(被相続人)がいる場合、法律に基づいてその子や兄弟姉妹が相続人として財産を承継します。
しかし、相続人が既に亡くなっている場合、相続権はどうなるでしょうか。
今回は、相続人が既に亡くなっている場合にどのような相続が行われるのかについて、解説します。
この記事は杉並区で相続・終活などをサポートする「とちもと行政書士事務所」が解説しています。
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相続人が既に亡くなっているケース
被相続人が既に亡くなっているケースとして、主に、その子がいるかどうかで状況が変わります。
①相続人に子がいない場合
相続人に子がいない場合、その相続権はなくなり、他に相続権を有している人が残された財産を承継します。
例えば、被相続人に3人の子がいる場合で、そのうちの1人が既に亡くなっている場合、他の2人の子で1/2ずつ財産を承継することになります。
②相続人に子がいる場合
相続人に子がいる場合、その子が被相続人の直系卑属であるとき(実の子であるとき)、相続人に代わって相続分を承継します。
これを「代襲相続」といいます。
例えば、被相続人に3人の子がいる場合で、そのうちの1人が既に亡くなっている場合、亡くなった1人の子(被相続人から見ると孫)も相続分を有していますので、他の2人の子とともに1/3ずつ財産を承継することになります。
なお、代襲相続の権利はその直系卑属の一身専属の権利であり、代襲相続権を他の人が変わって行使することはできません。
被相続人に子がなく、兄弟姉妹が亡くなっているケース
次に、被相続人に子供がいないケースについてです。
被相続人に子がいないと、第二順位である直系尊属(被相続人の親)が相続分を承継しますが、その直系尊属も亡くなっている場合、被相続人の兄弟姉妹が相続分を承継します。
そして、その兄弟姉妹も亡くなっている場合で、その兄弟姉妹に直系の子がいる場合、その相続分は代襲相続され、直系の子にも相続分が与えられます。
代襲相続に制限はあるか(相続欠格や廃除の場合)
代襲相続には何らかの制限があるでしょうか。
例えば、相続人であった人が何らかの相続欠格の事由があったり、相続から廃除されていた場合はどうでしょうか。
これらの場合であっても、相続欠格や廃除された人の子の代襲相続の権利は維持されます。
代襲相続に制限はあるか(相続放棄の場合)
どのような場合でも代襲相続は可能なのでしょうか。
代襲相続は全ての場合に成立するものではなく、相続人が相続権を放棄している場合、代襲相続することはできません。
相続の手続きが開始となった後、定められた期間内に相続を放棄した人がいる場合、その人の相続権は代襲相続されることはなく、他の相続人の相続分となってしまいます。
誰でも代襲相続可能か
代襲相続にも資格があり、その代襲相続人も、被相続人との間で欠格事由がなく、かつ廃除されていないことが条件とされます。
これは、倫理的に問題がある人に対して、代襲相続の権利を付与することは望ましくないという考えによるものです。
なお、倫理的に問題があるとしても、代襲相続をされる人(すでに亡くなっている代襲相続人の実の親)との関で、代襲相続人に欠格事由や廃除などがなされている場合でも、被相続人との関係で問題がなければ代襲相続は成り立ちます。
まとめ
今回は、相続人が既に亡くなっている場合に相続権が子に引き継がれる「代襲相続」について、解説しました。
被相続人の子が亡くなっている場合でも代襲相続できる直系の子(被相続人から見ると直系の孫)がいれば、その相続権が引き継がれるとすると、相続の権利関係が大きく変わってくることになります。
遺産を有する親が亡くなり、疎遠だった子たち(兄弟姉妹)が相続しようとする場合、兄弟姉妹が亡くなっているなど様々な状況が分からず、実はさらに亡くなっている兄弟姉妹にさらに孫がいたことが相続した後で発覚したなどといったケースもあります。
その場合、相続をやり直すことになりかねず、大変厄介な事例となります。
そういったことを防ぐためにも、専門の知識を有する相続のプロに手続きを委託しては如何でしょうか。
杉並区で活動する「とちもと行政書士事務所」では、お客様のご要望を受け、速やかに相続手続き・終活手続きをサポートいたします。
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