【旅館業】新宿区の旅館業許可申請で注意することについて
旅館業の許可の基準については、許可する各自治体でかなりの違いがあります。
それぞれの自治体では独自の条例で細かく定めを作っており、その自治体の条例などに合った客室要件などを満たす必要があります。
特に東京の23区では、本来は都道府県業務である旅館業の許可業務を23区の区役所が担っており、それぞれの区独自の基準をしっかり把握して申請しないと、思わぬ壁にぶつかって許可を得られない危険性があります。
今回は、新宿区の条例等の基準から、申請時に注意した方が良いことを開設します。
新宿区の特徴的な要件について
新宿区では、旅館業を営みたい部屋について、「宿泊者が利用する廊下、階段、昇降機その他の通路は、専用のものとすること。」が要件とされており、これが非常に大きなハードルとなっています。
簡単に言えば、建物の入り口から宿泊する人の泊まる部屋まで専用の通路などである必要があり、兼用であってはならない、ということで、例えば1フロアの1室で旅館業を営みたいとしても、他に部屋があって、それらと通路を共有すると許可されない、ということになります。
このため、新宿区ではマンション等で旅館業を行うことが事実上難しい状況で、どうしても江戸川区で旅館業を営みたい場合は一軒家を利用することとなります。
(一軒家であっても全階を旅館業で使用する必要があります)
マンションで旅館業を営みたい場合、1階で、かつ専用の出入り口が必要ですので、旅館業に特化した建物とせざるを得ず、非常に難しい印象です。
加えて、施設が旅館業を営むことが可能なものかについて、建築士に確認するよう求められます。
物件がまだ決まっていないのであれば、まずは建築士に物件が旅館業にかかる建築基準を満たしているかについて確認した方が良いでしょう。
新宿区の客室の基準について
新宿区の旅館業に関する条例では、条例で部屋の照明のルクス(明るさ)を指定しています。
照明器具がどれくらい明るいかについて、実際に検査に入られますので、あらかじめ照度を調べておいた方が無難です。
窓の大きさにも決まりがあり、室内の面積の10分の1以上としなければなりません。一部の区には同様の定めがあり、これも開業までのハードルとなります。
客室の最低限の床面積は、7㎡(寝台を置く客室の場合、9㎡)以上とされており、他の自治体の基準と変わりありません。
フロントを置かない場合の代替措置について
旅館業を営む場合でハードルとなるのが、フロントを置かない場合の代替措置です。
新宿区の場合、フロントを置かない場合はおおむね10分以内に施設に駆け付けられる体制が求められます。
旅館を営みたい方自身の家が近いなどであれば問題ありませんが、なかなかそのような条件を満たせる物件を探すのは難しいかもしれません。
駆け付け体制を民泊専門の事業者などに委託することもできます。その場合は、旅館を営みたい施設からかなり近い場所に事務所を有する事業者を探す必要があります。
洗面設備、トイレの数について
洗面設備やトイレの数は、宿泊者の人数に応じた数を用意しておく必要があります。
・洗面設備
以下の数の給水栓が必要です。
5人以下 1つ
6人以上10人以下 2つ
11人以上15人以下 3つ
16人以上20人以下 4つ
21人以上25人以下 5つ
26人以上30人以下 6つ
それ以上 30人を超えて10人(10人に満たない端数は、10人とする。)を増すごとに1を6に足し合わせた数
・トイレ
トイレは男女を別とし、以下の数が必要です。なお、男女合計数であり、その内訳は旅館を営みたい方に任されています。
5人以下 2つ
6人以上10人以下 3つ
11人以上15人以下 4つ
16人以上20人以下 5つ
21人以上25人以下 6つ
26人以上30人以下 7つ
それ以上 30人を超えて10人(10人に満たない端数は、10人とする。)を増すごとに1を7に足し合わせた数
※301人以上の場合、300人を超えて20人(20人に満たない端数は、20人とする。)を増すごとに1を34に足し合わせた数
まとめ(新宿区の特徴的な点)
新宿区で旅館業の許可を申請する場合に気を付ける点について解説しました。
新宿区の場合で特徴的なのは、旅館業を営みたい部屋と、それ以外の部屋の通路等を共有にしてはいけない点です。
マンション等ではかなりハードルが高いため、新宿区で旅館業を営みたい場合、一軒家など、専用の通路を用意できる施設で開業することが必要です。
とちもと行政書士事務所では、旅館業許可・民泊届出の許可取得の実績が豊富にあります。
お困りごとがありましたら、何なりと気軽にお問い合わせください。